2018/08/18 (土) 涼しくなったのでブログを埋めようか。
■ 時差ボケと夏バテと「検察側の罪人」をめぐるモロモロと次回作改稿/キャスティング/先行ロケハンのモロモロ及び演技ワークショップなどで、まったくブログ書き込み意欲を失っていた。今宵は冷房もつけずそよそよと流れ込む川風にゆとりを取り戻した感じ。もうあと6回寝ると「検察側」の初日だし、そうなると毎日がハラハラドキドキでまたブログに立ち向かう気力が萎える。で、今、書くしかない。
取り急ぎ、NYの続きから。
ヤムチャ以外で印象に残ったメシというと、高級店THE GRILLのクラブケーキ。ただし、ヴィシソワーズもフィレミニヨンも塩っぱくて。
老舗デリのKATZは悪い意味で印象に残った。ホテルから歩きましたよ。朝デリのコンビーフハッシュ&エッグスを求めて。20分の散歩は風景の変化が愉しくて最高だったけど、肝腎のカッツ、店構えは老舗香華絶好調でもティケット制なんだね、朝は。タフなウェイトレスも老獪なウェイターもいない。
ファーストフードみたいにカウンターで申告。それに必要な切符を入口で渡される。水もオーダー。コーヒーも紙コップ。がっくり。せこ過ぎる。コーンビーフハッシュどころかすべての卵料理もなし。デリ肉のサンドイッチとスープだけ。マゾボールのスープは美味だったが、再訪することはないね。
NYに戻ったらまた行きたい店はミッドタウンのCOSME。ウルトラモダンのメキシコ料理。メインもユニークで美味だったけど、デザートのパイナップル・タマーレが絶品。頬が落ちた。
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NYで見た映画。「ボーダーライン」の続編にあたる「SICARIO/ DAY OF THE SOLDADO」。アメリカの批評家は前作より落ちるとするものが大半だが、私には、前作よりも数等面白かった。
今回、エミリー・ブラントはいない。ベニシオ・デル・トロとジョッシュ・ブロリンが主役でヒロインにあたるのはメキシコ麻薬王の17才の娘。演ずるはイザベラ・モナー。出番は多くないが天才の輝きが随所にある。映画のエッセンスたるエモーションの、微妙なニュアンスを含めた出し入れが舌を巻くほどうまい。彼女とベニシオの束の間の擬似親子の絆に、私などうっとり。
前作の問題点はここでも書いたが、クライマックスの駒の運びにあった。今回は、そこを力業で乗り越えるテイラー・シェリダンの脚本がすべて。監督はアクション専科のステファノ・ソリマ。どうにも杜撰な「ACAB」に比べると映像センスもレベルアップした。
いつも思うことだが。
アメリカに来て映画館に入り、予告編を見ているとどれもこれも傑作に思えて来る。日本ではそんな気持ちになったことはない。今回、印象に残った予告編は、「OPERATION FINALE」、「BLINDSPOTTING」、「BLACKKKLANSMAN」、「KIN」、「WHITE BOY RICK」、「BAD TIMES AT EL ROYALE」、「A STAR IS BORN」。
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アメリカの配給会社は予告編作りに金をかけていることは勿論だが、なんでもかんでも見せてしまう露出型の宣伝ではなく、商品としての作品を大事に扱っているのがよくわかる。日本は解説型の予告編があまりにも多いし、映像センスもお粗末。自分の作品の予告編を、うまいな、と思って見たことは一度もない。無論、アメリカで接する予告編はなんの前知識もなしに遭遇するのでそれだけインパクトが強いということもある。おそらくここにあげた作品で、私が心底惚れ込むホンペンは一本か二本だと思う。
「スター誕生」の4度目だか5度目のリメークの予告編は、感動のあまり涙が流れた。バーブラとクリストファーセンの大駄作が記憶に残る「スター誕生」リメークで泣くなんて夢想だにしなかった。
この場合、本当に、観客全員がひとつになって、あれ、ひょっとして、このヒロイン、あの方?これがあの方の素顔?このシロウトっぽい女優が?まさかまさかまさか、と観客心理をいじっておいて、シャイなヒロインが監督主演のブラッドリー・クーパーの再三の誘いで歌い始めた瞬間、それが起きたのだよ。
感涙。
私も周辺の観客もぐぐぐーっとスクリーンに引き込まれ、レディー・ガガのクレジットが出たわけさ。卓越の予告編。
これ、NYだからこその体験。
こういうスクリーンに吸い込まれる感覚を「検察側の罪人」のホンペン鑑賞で体験してくれている観客がかなりいるみたいですね。8月24日に、日本全国でそんな観客が増殖してくれることを祈りつつ・・・。
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