2020/02/07 (金)

間違いは正すべし!


過日、「フォードVSフェラーリ」を見た。よく出来た「競争自動車」映画で、大いに楽しめた。が、字幕の間違いに苛立った。もっとも大きなミスは、新聞の見出し、FORD BIG LOSSあるいはFORD’S BIG LOSSを「フォード、巨額の損失」としていたところだろう。バカさ加減に呆れ、笑ってしまった。

この場面、トレイシー・レッツ演ずるヘンリー・フォード・ジュニアは経済面を見るために新聞を広げたわけではない。前のシーンの、レース参戦の手痛い敗北を、フォード・トップのリアクションとして紹介するシーンだ。

当然、見出しの読み方は「フォード、大惨敗」となる。

もうひとつ、大いに腹立ったのは日本人宣伝部もしくは翻訳家による「勝手な命名」だ。実在したフォードの副社長兼仇役LEO BEEBEのラストネーム表記が「ビーブ」となっている。作品では、英語検定初級の日本人にもよくわかる発音で、「ビービィ」と発音されている。ビービィが何故ビーブになるのか。字数が一字多いというなら「ビービ」にすればいい。



実は、これにはアホな前歴がある。再び、トレイシー・レッツの登場となる。

「ペンタゴン・ペーパーズ」でレッツが演じたワシントン・ポストの顧問弁護士の名前がFRITZ BEEBEなのである。これも、ストレートに美しい発音で「ビービィ」と繰り返されているにも関わらず字幕は「ビーブ」。こちらも実在の人物。BEEBEはビービィなのだよ。

こういう日本的忖度による勝手な命名を、私は嫌悪する。

しかし。

勝手な命名は、私の足許でも起きた。

「燃えよ剣」である。



ベルギー出身で、フランス映画を中心に活躍するJONAS BLOQUEという俳優がいる。「エル」でイサベル・ユペールの息子を演じ、私を魅了した。「燃えよ剣」の箱館エピソードでブリュネ大尉を登場させようと思ったとき、先ず頭に浮かんだのがJONASだ。

交渉はとんとん拍子に進み、彼は京都での撮影に参加することになった。そのとき、JONASはジョナスと発音するのかジョナなのか本人と確認した。というのは、日本での彼の名前の表記が「ジョナ・ブロケ」となっていたからだ。正解はジョナス。現場でもジョナスと呼び、エンドクレジットにも「ジョナス・ブロケ」と記載した。

それが。

先週、宣伝資料を見たら「ジョナ・ブロケ」となっている。なぜ?と問い質したら、日本での表記がそうなっているからという答え。

少なくとも、私は表記の誤りを正す姿勢で映画に取り組んでいる。前例がジョナだからといって、それが間違いなら絶対に使わない。これを、ウォーレン・ベイティ・セオリー、あるいはイーライ・ウォラック・セオリーと呼ぶ。

とはいえ、撮影時から一年近く経過している。私の記憶も最近、おぼろ月夜が多くかかるようになった。遊人にも確かめた。そして遊人がチェックダブルチェックの精神で本人と連絡を取り、正解を出した。

Sは発音する。ジョナスである。

ゆえに、「エル」の配給会社が勝手に「ジョナ」を命名し、「死霊館のシスター」は誤った前例に従って「ジョナ」を踏襲したということなのである。

悪しき連鎖は、「燃えよ剣」で断ち切る。

本日から始まるプレス試写で配布されるプレスシートは、訂正が間に合わず「ジョナ・ブロケ」となっている。しかし、JONAS BLOQUEはジョナス・ブロケである。


2020/01/18 (土)

天国と半地獄。


黒澤明監督の名作「天国と地獄」。英語タイトルは「HIGH AND LOW」。この縦割り構造をヴィジュアルに今の技術で昇華させた映画が「パラサイト/半地下の家族」だと言える。カンヌで最高賞にも輝きアカデミー賞でも作品賞、監督賞を含む6部門でノミネートされた。トマト・メーターの絶賛評は殆どが満点絶賛だ。

確かに、アクト2にあたる「豪雨の一夜」のくだりは素晴らしい。殊に、ソン・ガンホが子供ふたりと共に高台の家を抜け出し、豪雨の坂を下り、階段を駆け下り、半地下の家に帰宅する顛末は、その後のなりゆきを含めて、圧倒的な映像造形力だ。

ではアクト1と、仕上げのアクト3はどうか。



ポン・ジュノの作品に、私がいつもうんざりしてしまうのは役者の使い方だ。発音をはっきり大袈裟に、という過剰演技が、OVER THE TOPといった範疇を超えてグロテスクにTOO MUCHなのだ。

ちなみに、私が今までに見たポン・ジュノ作品を製作年代順に記せば以下のようになる。

「殺人の記憶」2003
「グエムル」2006
「母なる証明」2009
「スノーピアザー」2013/中途で興味喪失。
「オクジャ」2017/中途で興味喪失。

見続ける理由は、いつもどこかにある映像造形力。途中でリタイアした二作品は、役者の使い方のヘタさが要因だ。殊に「スノーピアザー」のティルダ・スウィントン、オッタビア・スペンサーのお粗末な演技とデキの悪いVFXには死ぬ程驚いた。

リストの中で好きなのは「殺人の追憶」だが、これにしても後半の、ソン・ガンホの不可解にコミカルな演技に首をひねった記憶がある。

「グエムル」は限られた予算の中で、メタフォアに満ちた怪獣ものを作った根性に拍手をしたが、演技陣に魅力がなかった。

「母なる証明」はオモニの強烈愛の濃厚描写に気分が悪くなった。一応、最後まで見ることはできが、今、振り返って、記憶に残る名場面は何もない。



「パラサイト」は、大いなる期待をもって臨んだのだが、結果は、アメリカの批評家たちが大絶賛したジョーダン・ピールの「ゲットアウト」を見た時と同じ「肩すかし」だった。なんでこれが、こんなに評価されるの、である。

殊に、アクト1のセットアップで落胆した。大袈裟な芝居とご都合主義の懐柔。
「天国」のパク一家の、殊にヨメが無邪気過ぎで「半地獄」のキム一家の潜入工作が杜撰に見える。ブラック・コメディだから、というのは言い訳にならない。脚本の段階で、もっと知恵を絞れ、である。これでは「下女」をリメークした不快な「ハウスメイド」以下だな、とも思った。このアクト1を耐えぬけば、素晴らしいアクト2が見えて来るのだが、アクト3で、またアクト1の、知性のかけらもない事件のしめくくりを迎える。

例えばアスガー・ファルハディの「別離」に於ける持つ者と持たざる者のクロスロードと比較するならば、演技の差異はさておき、プロットの根底にある希望=子役の扱いに関して、「パラサイト」はケアが足りなかった。

持たざる者の子は、ラストに未来の計画を語るのだが、持つ者の子供たちは、騒動の最中から消滅し、道具として使い捨てられてしまう。パク家のヨメも、おばかぶりだけが突出して最後は気絶してさようなら。

役の閉じ方に関して、しまりがない。こういう主要キャストの「無責任な使い捨て」の映画を、私は評価できない。

「別離」の子役のレベルに到達するのは無理にしても、アクト2の見事な映像の奔流に接して、アクト3は、オーヴァーアクトを洗い流したギアチェンジのナチュラルな演技を、子役を含めた全員が、展開してくれることを祈ったが、ポン・ジュノはひたすらあざとさに舵を切ってしまった。


2020/01/18 (土)

天国と半地獄。


黒澤明監督の名作「天国と地獄」。英語タイトルは「HIGH AND LOW」。この縦割り構造をヴィジュアルに今の技術で昇華させた映画が「パラサイト/半地下の家族」だと言える。カンヌで最高賞にも輝きアカデミー賞でも作品賞、監督賞を含む6部門でノミネートされた。トマト・メーターの絶賛評は殆どが満点絶賛だ。

確かに、アクト2にあたる「豪雨の一夜」のくだりは素晴らしい。殊に、ソン・ガンホが子供ふたりと共に高台の家を抜け出し、豪雨の坂を下り、階段を駆け下り、半地下の家に帰宅する顛末は、その後のなりゆきを含めて、圧倒的な映像造形力だ。

ではアクト1と、仕上げのアクト3はどうか。



ポン・ジュノの作品に、私がいつもうんざりしてしまうのは役者の使い方だ。発音をはっきり大袈裟に、という過剰演技が、OVER THE TOPといった範疇を超えてグロテスクにTOO MUCHなのだ。

ちなみに、私が今までに見たポン・ジュノ作品を製作年代順に記せば以下のようになる。

「殺人の記憶」2003
「グエムル」2006
「母なる証明」2009
「スノーピアザー」2013/中途で興味喪失。
「オクジャ」2017/中途で興味喪失。

見続ける理由は、いつもどこかにある映像造形力。途中でリタイアした二作品は、役者の使い方のヘタさが要因だ。殊に「スノーピアザー」のティルダ・スウィントン、オッタビア・スペンサーのお粗末な演技とデキの悪いVFXには死ぬ程驚いた。

リストの中で好きなのは「殺人の追憶」だが、これにしても後半の、ソン・ガンホの不可解にコミカルな演技に首をひねった記憶がある。

「グエムル」は限られた予算の中で、メタフォアに満ちた怪獣ものを作った根性に拍手をしたが、演技陣に魅力がなかった。

「母なる証明」はオモニの強烈愛の濃厚描写に気分が悪くなった。一応、最後まで見ることはできが、今、振り返って、記憶に残る名場面は何もない。



「パラサイト」は、大いなる期待をもって臨んだのだが、結果は、アメリカの批評家たちが大絶賛したジョーダン・ピールの「ゲットアウト」を見た時と同じ「肩すかし」だった。なんでこれが、こんなに評価されるの、である。

殊に、アクト1のセットアップで落胆した。大袈裟な芝居とご都合主義の懐柔。
「天国」のパク一家の、殊にヨメが無邪気過ぎで「半地獄」のキム一家の潜入工作が杜撰に見える。ブラック・コメディだから、というのは言い訳にならない。脚本の段階で、もっと知恵を絞れ、である。これでは「下女」をリメークした不快な「ハウスメイド」以下だな、とも思った。このアクト1を耐えぬけば、素晴らしいアクト2が見えて来るのだが、アクト3で、またアクト1の、知性のかけらもない事件のしめくくりを迎える。

例えばアスガー・ファルハディの「別離」に於ける持つ者と持たざる者のクロスロードと比較するならば、演技の差異はさておき、プロットの根底にある希望=子役の扱いに関して、「パラサイト」はケアが足りなかった。

持たざる者の子は、ラストに未来の計画を語るのだが、持つ者の子供たちは、騒動の最中から消滅し、道具として使い捨てられてしまう。パク家のヨメも、おばかぶりだけが突出して最後は気絶してさようなら。

役の閉じ方に関して、しまりがない。こういう主要キャストの「無責任な使い捨て」の映画を、私は評価できない。

「別離」の子役のレベルに到達するのは無理にしても、アクト2の見事な映像の奔流に接して、アクト3は、オーヴァーアクトを洗い流したギアチェンジのナチュラルな演技を、子役を含めた全員が、展開してくれることを祈ったが、ポン・ジュノはひたすらあざとさに舵を切ってしまった。


2020/01/14 (火)

CHEATERS! 詐欺師ども!


公式にヒューストン・アストロスはチーターズの汚名をまとうことになった。

2017年のワールド・シリーズで、アストロスはエレクトリック・デヴァイスを使ってサインを盗み、ドジャースの投手陣を打ち崩したことが証明された。

ヒューストンで行われたGAME3のダルヴィッシュ、GAME5のカーショーとモローの不可解な投壊は、そういうことなのだ。サインを盗まれなければ、ドジャースはGAME5、もしくはGAME6で優勝を決めていたと推測できる。

この正式発表を受け、アストロスのオーナーはGMのルーナウと監督のヒンチを解雇した。



ただしサイン盗みのシステムを構築したのは、ルーナウでもヒンチでもなく、当時アストロスのベンチ・コーチだったアレックス・コーラだ。

コーラは2018年にボストン・レッドソックスの監督となり、ワールド・シリーズに進出。ドジャース相手に、このシステムを使い、優勝した。

レッドソックスのCHEATに関しては現在MLBが調査中。数日中にコーラへの懲罰が公表される。

私は、アレックス・コーラは永久追放となるべきだと思う。

この不正はコーラを中心に選手たちが率先して行ったわけだが、MLBコミッショナーのロン・マンフレッドは選手への懲罰はない、と言明している。関わった選手全員を罰することは、既にアストロス、あるいはレッドソックスを離れ他球団でプレイする選手もいるわけで、問題がMLB全体に広がる。

さらにいえば、程度の差はあっても、エレクトリック・デヴァイスを使った違法なサイン盗みを行っているチームは他にないとは言えない状況もあり、グレイゾーンはグレイゾーンのままにしておかないと、2020シーズンが機能しなくなる可能性もある。

それだけに、球界全体への警告を込めて、アレックス・コーラは厳罰=永久追放に処すべきだと思う。

これによって、ドジャースが2017年と2018年のワールド・シリーズ覇者のタイトルを得ることはないが、アストロスとレッドソックスのタイトルは剥奪すべきだろう。つまり、2017年と2018年のワールド・シリーズは、勝者なし、ということになる。

以前、2017年ワールド・シリーズの戦犯筆頭はダルヴィッシュだ、と私は斬り捨てた。ダルヴィッシュはドジャースを優勝に導くツールを持っていた。ごめんよ、ダルヴィッシュ。

カーショーはポスト・シーズンのお荷物だとも思ったが、そうではなかった。2020シーズンでは、カーショーのポスト・シーズンでのリヴェンジを期待しよう。


2020/01/14 (火)

CHEATERS! 詐欺師ども!


公式にヒューストン・アストロスはチーターズの汚名をまとうことになった。

2017年のワールド・シリーズで、アストロスはエレクトリック・デヴァイスを使ってサインを盗み、ドジャースの投手陣を打ち崩したことが証明された。

ヒューストンで行われたGAME3のダルヴィッシュ、GAME5のカーショーとモローの不可解な投壊は、そういうことなのだ。サインを盗まれなければ、ドジャースはGAME5、もしくはGAME6で優勝を決めていたと推測できる。

この正式発表を受け、アストロスのオーナーはGMのルーナウと監督のヒンチを解雇した。



ただしサイン盗みのシステムを構築したのは、ルーナウでもヒンチでもなく、当時アストロスのベンチ・コーチだったアレックス・コーラだ。

コーラは2018年にボストン・レッドソックスの監督となり、ワールド・シリーズに進出。ドジャース相手に、このシステムを使い、優勝した。

レッドソックスのCHEATに関しては現在MLBが調査中。数日中にコーラへの懲罰が公表される。

私は、アレックス・コーラは永久追放となるべきだと思う。

この不正はコーラを中心に選手たちが率先して行ったわけだが、MLBコミッショナーのロン・マンフレッドは選手への懲罰はない、と言明している。関わった選手全員を罰することは、既にアストロス、あるいはレッドソックスを離れ他球団でプレイする選手もいるわけで、問題がMLB全体に広がる。

さらにいえば、程度の差はあっても、エレクトリック・デヴァイスを使った違法なサイン盗みを行っているチームは他にないとは言えない状況もあり、グレイゾーンはグレイゾーンのままにしておかないと、2020シーズンが機能しなくなる可能性もある。

それだけに、球界全体への警告を込めて、アレックス・コーラは厳罰=永久追放に処すべきだと思う。

これによって、ドジャースが2017年と2018年のワールド・シリーズ覇者のタイトルを得ることはないが、アストロスとレッドソックスのタイトルは剥奪すべきだろう。つまり、2017年と2018年のワールド・シリーズは、勝者なし、ということになる。

以前、2017年ワールド・シリーズの戦犯筆頭はダルヴィッシュだ、と私は斬り捨てた。ダルヴィッシュはドジャースを優勝に導くツールを持っていた。ごめんよ、ダルヴィッシュ。

カーショーはポスト・シーズンのお荷物だとも思ったが、そうではなかった。2020シーズンでは、カーショーのポスト・シーズンでのリヴェンジを期待しよう。


 a-Nikki 1.02